ファナックは大手電機メーカー。
一般消費者向けの製品はないため知名度は高くありませんが、製造業に従事している人であればその名を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。
そんなファナックへ投資してみたいという人も少なくないでしょう。
しかし、ファナックの株価分析は投資に値する結果と言えるのでしょうか。
また、配当金や株主優待はあるのでしょうか。
そこで今回はファナックの株価分析と配当金、株主優待について分かりやすく解説していきます。
ファナック(6954)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説
ファナック(6954)の株価分析
ファナックの事業内容
ファナックは工場で使用する生産設備を製造する電気機器メーカー。
主力製品は工作機械向けCNCです。
といっても、なんのことか分からない人も多いのではないでしょうか。
CNCは「Conputer Numerically Control」の略称。 コンピューターを使って工作機械の作業工程などを数字でコントロールするシステムです。
これまで作業員が手動でおこなっていた加工を工作機械に任せるために必須のシステムと言ってよいでしょう。
そして、ファナックのCNC分野における世界シェアは50%とも言われています。
さらに言えば国内では70%程度。
ほとんどの生産設備でファナック製品が使われていると言っても過言ではありません。
ちなみに、ファナックの名前の由来は「Fuji Automatic Numerical Control」。
富士通のNC部門から独立したことからこういった社名になっています。
ただ、2009年のファナックによる自己株式取得によって富士通との資本関係はすでに解消されています。
とはいえ、当然ながら協業関係がなくなったわけではなく、いまもなお製品の合同開発などで協力体制を敷いています。
ファナックの売上の状況
ファナックの2020年3月期の売上高は5,083億円。 経費などをのぞいた経常利益は1,028億円です。
前年比で売上高は20%、経常利益は44%の大幅減収減益です。
これは2019年の米中貿易摩擦、2020年初頭の新型コロナウィルス拡大による中国市場の需要減少が大きな要因です。
とはいえ、いずれの問題も現在は解消しつつあります。 ファナックの業績がこのまま低迷することはないでしょう。
ただし、これらは株価分析においてすでに織り込み済みと考えられます。
今後、業績回復を理由とした株価上昇はあまり期待できません。
ファナックの資産状況
2020年3月期のファナックの総資産は1兆5124億円。
自己資本比率は89.6%です。
自己資本比率は総資産のうち資本金と株主資本等が何割を占めるかの指標。
株価分析では、自己資本比率が高いほど財務的に安定していると判断できます。
そしてファナックの89.6%という自己資本比率は十分すぎるほど優秀な値です。
ファナックの財務的健全性が悪材料になることはまずないと言って良いでしょう。
ファナックの株価分析
ファナックの株価は短期、中期で見ると軟調です。
新型コロナウィルス拡大前の株価まで戻してはいますが、それだけです。
特に明るいニュースがあるわけでもないため、今後もしばらくは20,000円近くをもみ合う展開と考えられます。
したがって、短期的に見ると強気の判断はしづらいところです。
ただ一方で、10年という長期で見ればファナックの株価はかなり割安な水準です。
新型コロナウィルスという特殊な要因があっても直近の最安値は15,000円程度。
よほどの悪材料でもなければそこまで値を下げることはないと思われます。
したがって、長い目で見て長期保有を前提とするのであれば現在は良い買い場と言っても良いでしょう。
ファナック(6954)の配当金
ファナックの予想配当金は138.54円。
投資した金額に対するリターンの割合である配当金利回りは0.67%です。
結論から言って、これはあまり良い利回りではありません。
また、ファナックの株価が高いことも個人投資家にとってはネックです。
現在のファナックの株価はおおよそ20,000円。
売買単位は100株です。
したがって、20,000円×100株=200万円が初期投資額となります。
それに対して138円×100株=13,800円の配当金というのは、とうてい割りの良い投資とは言えないでしょう。
ただし、これは今期の業績が大きく落ち込んだことが原因です。
過去のファナックの配当金を見ると500円~1,000円と業績に応じてかなり手厚い配当をしていました。
十分な資金力がある、かつ、今後のファナックの業績回復を前提とするのであれば配当金目当てで投資するのも悪くはないでしょう。
ファナック(6954)の株主優待
ファナックに株主優待はありません。
ファナックの主力事業が工業機会向けCNCであることを考えればこれも仕方のないことでしょう。
もっとも、これはファナックが株主を軽視しているからではありません。
ファナックの株主還元方針は配当性向60%。
配当性向とは利益の何割を配当金に回すかを表す指標です。
つまり、ファナックは利益の半分以上を株主に配当金として還元する方針であるということです。
株主優待がないとはいえ、十分な還元があると言ってよいでしょう。
ただし、株価分析においては配当性向が高いことを手放しに喜ぶべきかどうかというと微妙なところです。
利益の多くを配当金として回すということは他に優先して投資すべき事業がないということともとれるからです。
そういった意味では「配当性向の高さ=成長の可能性が低い」というネガティブな評価もできるのです。
このあたりをどう評価するかは投資家次第です。
できれば実際にファナックの決算資料で配当政策に目を通して自分で判断することをおすすめします。
ファナック(6954)の株価分析を競合他社と比較
ファナックの競合として安川電機の株価分析と比較してみましょう。
安川電機もまたファナックと同じく工業向け機械向けの製品を製造・販売するメーカー。
株価もファナックと同じように値動きしています。
やはり米中貿易摩擦と新型コロナウィルスの影響を強く受けた結果です。
ただ、ファナックとは違い株価の単価が4,000円程度と投資しやすい水準です。
配当金は24~40円と高くはありませんし株主優待もありません。
しかし、ファナックへ手が届かないものの同じような電気機器メーカーへ投資したいという人にとっては代わりの投資先として検討する価値はあるのではないでしょうか。
ファナック(6954)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説 まとめ
ファナックの株価分析と配当金、株主優待について解説してきました。
株価は軟調、いまひとつ今後の見通しも明るいとは言えません。
しかし、中長期的に見ればファナックの株価が一弾の値上がりをする可能性も低くありません。
また、ファナックは株主優待こそないものの配当金による株主還元方針は手厚いものとなっています。
一時的な業績不振により配当金も低くなっていますが、中長期的に見れば配当金狙いで投資するのも良いのではないでしょうか。