エアリズムやフリース、ヒートテックなどの一大ブームを巻き起こしてきたユニクロ。
そんなユニクロを運営するファーストリテイリングに投資してみたいという人も多いのではないでしょうか。
しかし、ファーストリテイリングの株価分析の結果はどのようになっているのでしょうか。
また、配当金や株主優待はあるのでしょうか。 そこで今回はファーストリテイリングの株価分析と配当金・株主優待について分かりやすく解説していきます。
ファーストリテイリング(9983)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説
ファーストリテイリング(9983)の株価分析
ファーストリテイリングの事業内容
ファーストリテイリングはユニクロ、GUを運営する国内最大級のアパレル大手。
ユニクロ(UNIQLO)の社名の由来はかつて製造・販売していたブランドのUNIQUE CLOTHING WAREHOUSEです。
いまやユニクロは安価かつトレンドをおさえたファッションであるファストファッションブランドの先駆けです。
また、ファーストリテイリングは商品企画から販売、物流までを一貫しておこなうSPA(製造小売業)の事業モデルを確立したことでも有名です。
代表取締役である柳井氏は父から引き継いだ小売店を一代でここまで成長させたことでも知られます。
ファーストリテイリングの勢いは陰りを見せることもなく、いまもなお日本のアパレル事業の最大手として君臨しています。
ちなみに、ファーストリテイリングは日経平均株価において10%のウェイトを占めます。
しばしば日経平均株価が実体経済を表していないと言われるのは、このような構成銘柄のウェイトに偏りがあるからです。
ファーストリテイリングの売上の状況
ファーストリテイリングの2019年8月期決算の売上高は2兆2095億円。
経費などを抜いた経常利益は2,524億円です。
売上高に対して経常利益が低いのはアパレル業界の傾向です。
ファーストリテイリングが特に利益率が低いというわけではありませんので、その点を株価分析に考慮する必要はありません。
なお、2020年以降は新型コロナウィルスの影響により減収減益を予定しています。
もっとも、実際の業績はファーストリテイリングが想定する以上のペースで回復しているため、影響は限定的と考えられます。
ファーストリテイリングの資産状況
ファーストリテイリングの総資産は2兆4542億円。
株主資本と資本金をのぞいた自己資本比率は41.6%です。
自己資本比率は財務健全性を表す指標。
ファーストリテイリングの41.6%はアパレル業としては十分に高い数値です。
株価分析において財務面の不安はないと言ってよいでしょう。
ファーストリテイリングの株価分析
ここ3年で見るとファーストリテイリングの株価はかなり上昇しています。
ただ、新型コロナウィルスの影響により下がった価格はまだ十分に戻りきっているとは言えません。
やや割安に調達する良い機会と考えてもよさそうです。
また、半年程度の中期間で見ても、ちょうどトレンドが切り替わるタイミングと言えそうです。
出来高が縮小しているところが気がかりですが、総じて良い売買の時期と言ってよいのではないでしょうか。
ただし、ファーストリテイリングの大株主は日銀です。
そのため、現在のファーストリテイリングの株高は日銀によって支えられているとも言われています。
首相および日銀総裁の金融政策いかんによっては大きく値を下げる可能性があることには注意しておきましょう。
ファーストリテイリング(9983)の配当金
ファーストリテイリングの予想配当金は480円。
投資額に対するリターンの割合である配当金利回りは0.73%。
営業利益に対して何割の配当金を出しているかの指標である配当性向は約30%です。
率直に言って、良くも悪くもない数字です。
ファーストリテイリングは配当政策で明確な配当方針を示していません。
むしろ、将来の事業拡大や財務健全性を株主還元より優先するといった印象があります。
今後も配当金についてはあまり期待しないほうが良いでしょう。
ファーストリテイリング(9983)の株主優待
意外なことにファーストリテイリングに株主優待はありません。
配当金もそれほど手厚いわけでもないことを考えると、やはりファーストリテイリングは少し個人株主を軽視しているような印象です。
とはいえ、これはファーストリテイリングの株主をあらためて見れば納得です。
代表取締役である柳井氏がすでに発行済株式数の20%以上を保有しており、そのほか機関投資家も含めると8割近くの株式が特定の株主の手にあります。
したがって、それ以外の少数派である個人投資家に株主優待を提供して手厚く遇する必要もないというわけです。
ファーストリテイリングについては配当金や株主優待は考慮せず、売買差益を中心にすえて株価分析すべきと言ってよいでしょう。
ファーストリテイリング(9983)の株価分析を競合他社と比較
ファーストリテイリングはもはやファストファッション業界の一強と言えるためなかなか適切な競合他社が選びにくいところです。
しかし、しまむらはファーストリテイリングと並んで比較されることの多いブランドです。
実際、しまむらはアパレル業界ではファーストリテイリングに次いで業界2位の売上高を誇ります。
そこでここではしまむらの株価分析をファーストリテイリングと比較してみましょう。
堅調なファーストリテイリングとは対照的にしまむらの株価は明らかな下落基調です。
このように明暗が分かれるのは事業モデルの違いが主な理由です。
先に触れたようにファーストリテイリングの事業モデルは製造から販売までを一貫して手掛けるSPA(製造小売業)。
対して、しまむらは商品を仕入れて販売する一般的な小売業です。
そのため、しまむらは売上高に対する原価が占める比率が高く利益率が低くなってしまうのです。
もちろん、理由はそれだけではなく様々な要因が絡んでいます。
たとえば、ファーストリテイリングの先鋭的な人事評価制度などは業績に好影響を与えていると言われています。
あるいは、海外への事業展開のスピードなどもしまむらとは大きく違います。
いずれにしろ、株価分析においては表面上の業態だけではなくこういったビジネスモデルの違いなども考慮することが重要です。
ファーストリテイリング(9983)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説 まとめ
ファーストリテイリングの株価分析と配当金・株主優待について解説してきました。
ファーストリテイリングの株価は堅調に推移しており、今後も順調に成長していくと考えられます。
ただし、配当金と株主優待については期待できません。
ファーストリテイリングの株主のほとんどは特定の株主であるため、個人投資家を手厚く遇する動機がないからです。
ファーストリテイリングに投資するつもりの人は配当金や株主優待ではなく純粋な値上がりによる売買差益を狙っていきましょう。