将来の資産形成のためにこれからNISA口座を開設したいと考えている人もいるでしょう。
しかしNISAのしくみ自体がイマイチよくわからず、利用を躊躇しているという人もいるのでないでしょうか。
NISAは投資で得た収益や配当金を非課税で受け取れるという制度ですが、非課税になる期間や非課税になる金額の枠が限定されている投資制度です。
ここでは、NISAの非課税期間と非課税枠について分かりやすく解説していきます。
NISAの非課税期間と非課税枠を分かりやすく解説
NISAの非課税期間と非課税枠を理解するためにNISA制度を復習
「NISAは非課税で資産運用ができる」というなんとなくのイメージからNISAを始めたいという人も多いでしょう。
しかしNISAを始めるのであれば、NISAの非課税期間や非課税枠などのルールについても知っておかなければなりません。
またNISAの非課税期間や非課税枠を知るために、そもそものNISAという制度についてもしっかり理解しておきましょう。
NISAとは、国の定めた投資制度の1つで正式名称を「少額投資非課税制度」といいます。
NISAは投資方法で利用できる制度の1つであり、株式や投資信託などに利益を見込んでお金を掛ける「投資」を行います。
そしてある程度の期間、NISAで購入した株式や投資信託などの金融商品を保有し、配当金を受け取ったり価格が値上がりしたタイミングで売却することで利益を得ることが可能です。
通常のNISAではない株式投資や投資信託で収益を得た場合には、収益に対して20.315%の税金がかかります。
しかしNISAで得た収益に関しては、税金がかかりません。
そのため、通常の株式投資や投資信託で得た収益とNISAで得た収益では、同じ条件で収益を得たとしても以下のように実際に受け取れる額に違いが生じます。
- 株式投資や投資信託で10万円の利益を得た場合(税率およそ20%が差し引かれる)...8万円の受け取り
- NISAで10万円の利益を得た場合(非課税)...10万円の受け取り
このようにNISAで運用した収益に関しては、非課税となり税金の徴収がありませんので収益の全てを受け取ることができるというメリットがあります。
同じ資産運用をしても一般口座では8万円の受け取り、NISA口座では10万円の受け取りと2万円も受け取れる金額に違いが出てくるのであれば、NISA口座で資産運用をした方が絶対にお得ということになりますよね。
しかし、NISA口座での資産運用には一般口座にはない非課税期間と非課税枠というルールが導入されているのです。
NISAの非課税枠とは?
一般口座にはないNISA口座独自のルールとして存在するものの1つめが、非課税枠になります。 NISAの非課税枠とは、NISA口座で非課税の対象となる投資可能額のことです。
つまりNISAでは年間でいくらまでを掛け金として投資できるかの上限があるということになります。
NISAは2021年現在、「NISA(一般NISA)」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」という3タイプのNISA口座が開設できるようになっており、それぞれの非課税枠(年間の投資可能枠)は以下の通りです。
- NISA(一般NISA)...投資可能枠年間最大120万円
- つみたてNISA...投資可能枠年間最大40万円
- ジュニアNISA...投資可能枠年間最大80万円
NISA(一般NISA)とジュニアNISAに関しては、投資可能枠の上限を年間で越えなければ好きなタイミングで投資を行うことができます。
つみたてNISAの場合には、月々の積立型での投資を行っていきますので、最大で月間3.3万円程度の投資が可能です。
ただし、つみたてNISAも年度の途中から始めたという場合には、余った分の枠分も他の月にプラスして投資することができます。
例:2021年4月からつみたてNISAを始めた場合
- 月々3.3万円ずつ投資すると4月〜12月で「3.3万円×9ヶ月=29.7万円」年間の投資額は29.7万円となる
- つみたてNISAは40万円の非課税枠があるので「29.7万円−40万円=10.3万円」となり10.3万円の非課税枠が残ってしまう
- そこで4月からスタートして非課税枠をフルで利用したい場合には、「40万円÷9ヶ月=4.44...」毎月およそ4.4万円の投資が可能
NISAの非課税枠は小さめなので高額の投資には不向き
NISAの非課税枠は年間で「NISA(一般NISA)で120万円」「つみたてNISAで40万円」「ジュニアNISAで80万円」です。
一般の株式投資を行っている人であれば、年間に数百万円〜数億を掛け金にするという人もいますのでかなりの少額投資になることがわかるでしょう。
そのため1株あたりの金額が高額になっている株式の購入などはNISAは不向きです。
たとえば1口50万円の株式を3口購入したくても、NISA口座の年間非課税枠が120万であるため2口までしか購入することはできません。
また1口が120万円以上の株式は購入できませんので、ある程度購入できる銘柄も限定的になってくるでしょう。
NISAの非課税期間
またNISAではNISAが適用される非課税期間も限定的に設けられており、半永久的にNISA口座で投資を行うことは不可能です。
NISAの非課税期間は、NISAのタイプごとに以下の通りに設定されています。
- NISA(一般NISA)...最長5年(ただし2023年で制度終了)
- つみたてNISA...最長20年(ただし2042年で制度終了)
- ジュニアNISA...最長5年(ただし2023年で制度終了)
NISA(一般NISA)の場合、非課税期間は最長で5年となりますが2023年に制度自体が終了予定です。
ただし2024年から新NISAが始まり、2023年末時点でNISAの非課税期間が残っている人であれば自動的に新NISA口座に移動します。
またジュニアNISAも2023年に終了しますがこちらは代替えの制度はなく、終了後は新たな非課税投資枠口座に資金が移動する予定です。
NISA(一般NISA)と新NISAでは若干ルールが変わってきますので、これからNISA(一般NISA)を始めるという人は、新NISAの制度についてもしっかり調べた上で、口座開設を行っていくのがよいでしょう。
最長年数と制度終了期間をしっかり確認して口座開設を行うようにしてください。
NISAの非課税期間と非課税枠を分かりやすく解説まとめ
今回は、NISAの非課税期間と非課税枠について分かりやすく解説してきました。
NISAは、NISA口座で得た収益や配当金に対して非課税になるという優遇のある投資制度ですが、利用するためには非課税期間や非課税枠などのルールを守っていく必要もあります。
特にNISAの非課税期間に関しては、NISA制度自体の終了や新しいNISA制度との切り替えなどが絡んでくるものもありますので、口座開設前にしっかり調べておくのがよいでしょう。