豊田通商はその名のとおりトヨタ系列の総合商社。
そんな豊田通商へ投資してみたいという人も少なからずいることでしょう。
しかし、株価分析の結果は投資に値するものと言えるのでしょうか。
また、配当金や株主優待、直近の売上状況などはどのようになっているのでしょうか。
そこで今回は豊田通商の株価分析と配当金、株主優待について分かりやすく解説していきます。
豊田通商(8015)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説
豊田通商(8015)の株価分析
豊田通商の事業内容
豊田通商はトヨタ自動車系列の総合商社です。
ただ、そもそも商社というビジネスに馴染みがない人も多いのではないでしょうか。
商社とは簡単に言ってしまえば貿易を生業とする企業です。
しかし、豊田通商のような「総合」商社のビジネスは貿易だけにとどまりません。
現地企業への出資やコンサルティング、システム開発など貿易に関わるあらゆる部分が事業領域となります。
また、総合商社は企業によって得意とする分野が異なります。
豊田通商は「金属」「グローバル部品・ロジスティクス」「自動車」「エネルギー」「化学品・エレクトロニクス」「食料」「アフリカ」と事業領域を定めています。
その中でもっとも得意とする領域は「自動車」と「アフリカ」です。 この2つのセグメントで豊田通商の営業利益の約7割にも登ります。
株価分析の際にはこの2つのセグメントに注目しておくと良いでしょう。
とはいえ、アフリカ事業と聞いてもイメージしづらいかもしれません。
豊田通商のアフリカ事業は、アフリカにおける自動車事業や発電事業、肥料など総合的な事業です。
もっとも、アフリカ事業の売上構成比の約6割は自動車です。
基本的には自動車事業のアフリカカテゴリーと考えておけば良いかと思います。
豊田通商の売上の状況
豊田通商の2020年3月期の通期連結売上高は6兆6,940億円。
そこから経費などを引いた経常利益は2,248億円です。
売上、利益ともに前年比で若干の減収減益です。
これは言うまでもなく新型コロナウィルスの影響が大きな理由です。
また、豊田通商のビジネスの基本は貿易です。
そのため、円高も大きく売上を落とす要因となっています。
さらに豊田通商は2021年3月期の利益については前期比41.0%減の800億円としています。
総じて、豊田通商を取り巻く事業環境はいましばらく厳しいままと言えるでしょう。
ただ、豊田通商は業績予測に際して1ドル=105円と想定しています。
為替に関しては予測が難しいところですが、これは現実的か、あるいはやや悲観的な想定と言えます。
したがって、為替レートの変更による業績の下方修正といった可能性は低いと思われます。
豊田通商の資産状況
2020年6月期における豊田通商の総資産は4兆5,881億円。
自己資本比率は26.4%です。
自己資本比率は総資産のうち株主資本等が占める割合。
高いほど財務的に安定しているとみなされる指標です。
豊田通商の自己資本比率26.4%という数字はやや低めです。
ただ、総合商社は投資した莫大な資産を長期間に渡って回収していくビジネスです。
そのため基本的に自己資本比率は低くなりがちです。
数字上、豊田通商の自己資本比率は低めですが、それほど不安視する必要はないでしょう。
そもそも豊田通商はトヨタ系列の総合商社です。
そのためトヨタ自動車、豊田自動織機が大株主に名を連ねています。
そういったバックグラウンドを考えても財務的な部分への心配は不要でしょう。
豊田通商の株価分析
豊田通商の株価は新型コロナウィルスを契機に急落。
その後に回復しつつありますが、いまだ以前の水準までは戻していません。
しかし、直近の決算の内容は思いのほか悪くなく株価も大幅反発。
中期的には良い買い場と言えるかもしれません。
ただ、やはり新型コロナウィルスの先行きは不透明。
また、米中貿易摩擦の長期化やイギリスのEU脱退など豊田通商の業績に悪影響を与える懸念材料は山積しています。
冬にかけていましばらくの注意が必要でしょう。
豊田通商(8015)の配当金
豊田通商の予想配当金は110円~120円。
投資額に対するリターンの割合である配当金利回りは3.19%です。
この配当金の利回りはかなり手厚いものと言えます。
たとえば現在の豊田通商の株価はおよそ3,500円。
最低売買単位の100株を購入するとなると約35万円が必要になります。
それに対して100株×120円=12,000円の配当金と考えると実に割の良い投資です。
ただ、これはあくまでも予想の配当金にすぎません。
豊田通商は現時点では業績予想が難しいことから期末配当金については未定としています。
年2回の配当金は死守される見込みですが、場合によっては減額もありえるのでその点は承知しておきましょう。
豊田通商(8015)の株主優待
豊田通商に株主優待はありません。
もっとも、豊田通商の配当金利回りが高いことは先に触れたとおり。
株主優待がなくとも株主還元は十分であると言って良いでしょう。
ちなみに、豊田通商にかぎらず商社の多くは株主優待がありません。
株主優待が欲しい人は他業種の銘柄を探しましょう。
家電量販店やスーパーなどの小売、あるいは交通系の銘柄の株主優待は特におすすめです。
豊田通商(8015)の株価分析を競合他社と比較
豊田通商の競合他社としてここでは双日と丸紅の株価分析と比較してみましょう。
まずは双日の株価です。
双日は自動車、航空などに強みを持つ総合商社。
自動車に強みを持つという点は豊田通商と同じです。
しかし、株価は対照的。 かなり低い水準からいまだ抜け出せていません。
さらに悪いことに配当金の減額も決定しています。
しばらくのあいだ双日は豊田通商の代わりの投資先とはなりえないでしょう。
次に丸紅の株価を見てみましょう。
丸紅は電力や穀物に強みを持つ総合商社。
豊田通商と同じように自動車部門は苦戦しましたが、主力の他分野が検討してダメージは軽微。
株価も緩やかに回復基調です。
予断は許しませんが今のタイミングで投資するのも決して悪くはないかと思います。
総じて、グローバルに事業を展開している総合商社にとって今回の新型コロナウィルスの流行は大きな痛手でした。
経済活動に回復の兆しはありますが、いまだ不透明感は拭えません。
投資の際には慎重に判断することをおすすめします。
豊田通商(8015)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説 まとめ
豊田通商の株価分析と配当金、株主優待について解説してきました。
株価については新型コロナウィルスを契機に急落したものの、好調な決算を反映して回復しつつあります。
しかし、以前の水準へ戻るにはいましばらくの時間がかかる様子です。
ただ、豊田通商は株主優待こそないものの配当金の利回りが極めて高いという特徴があります。
したがって、株価回復まで時間がかかるとしても配当金でそれなりのリターンが期待できます。
豊田通商へ投資するつもりの人はある程度中長期保有を前提と考えておくと良いでしょう。