ユニ・チャームは不織布(ふしょくふ)、吸収体素材の技術を活かした製品が強みの大企業。
昨今はマスクでお世話になっている人も少なくないでしょう。
そこでユニ・チャームへ投資すれば大きなリターンが得られるのではとお考えの人も多いのではないでしょうか。
しかし、そもそもユニ・チャームの株価分析は投資に値する結果と言えるのでしょうか。
また、配当金や株主優待についてはどうなっているのでしょうか。
そこで今回はユニ・チャームの株価分析と配当金、株主優待について分かりやすく解説していきます。
ユニ・チャーム(8113)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説
ユニ・チャーム(8113)の株価分析
ユニ・チャームの事業内容
ムーニーマンやソフィなどで有名なユニ・チャーム。 その事業内容はイメージどおりベビーケア用品、ヘルスケア用品などです。
かつてユニ・チャームは幼児教育や結婚情報サービス、リゾート事業など多角経営をしていましたが、現在は不織布・吸収体の加工成形技術を中心とした事業ポートフォリオへ再編しています。
また、ユニ・チャームの製品を見るとその対象は乳幼児から高齢者、はてはペットまでになります。
これは生活に密着しているという側面ももちろんあります。
しかし、株価分析においては人口動態の影響を受けにくいということこそが大きなメリットとして評価できます。
特に世界的に高齢化が進む現在では高齢者向けの製品で強みがあることは大きなポイントです。
ちなみに、ユニ・チャームの社名の由来は「Universal」「Unique」「United」のトリプルミーニングと「Charm」つまり魅力です。
世界的に通用するユニークな商品を提供する統合した企業でありたい、女性にはいつも魅力的であってほしい、という2つの願いが込められています。
ユニ・チャームの売上の状況
ユニ・チャームの2019年12月期決算の連結売上高は7,142億円。
2020年度予測は7,600億円です。
様々な業態に悪影響を及ぼした新型コロナウィルスもユニ・チャームに関しては追い風となりました。
これは感染症予防の意識が高まり衛生用品の需要が拡大したことによります。
なお、ユニ・チャームの地域別売上高において日本は約40%にすぎません。
半数以上の売上高は海外に依存しています。
したがって、ユニ・チャームの株価分析をするうえでは日本だけではなく世界へも目を向ける必要があります。
特にユニ・チャームは中国とアジアの売上高が総売上高のうち50%近い割合を占めます。
それらのアジア諸国の経済動向などには特に注意しておきましょう。
ユニ・チャームの資産状況
2020年6月期におけるユニ・チャームの総資産は8534億円。
自己資本比率は55.1%です。
自己資本比率は総資産に占める資本金と株主資本等の割合。
企業の財務的な健全性をはかる一般的な指標です。
そしてユニ・チャームの自己資本比率55.1%は十分に優秀な数字です。
株価分析において財務的な懸念材料はないと言って良いでしょう。
ユニ・チャームの株価分析
ユニ・チャームの株価は新型コロナウィルス拡大期に一度急落したもののすぐに値を戻しています。
その後も年初来高値を更新し、今もなお高い水準を維持しています。
ただ、現状は上値を探る状態と見えます。
目に見えて下落することはないと思われますが、買い時かどうかはなんとも言えないところです。
もっとも、5年、10年といった長期で見ればユニ・チャームの株価が右肩上がりであることは自明です。
長期保有前提であれば投資しておくのになんの問題もないでしょう。
ユニ・チャーム(8113)の配当金
ユニ・チャームの予想配当金は32円。 金額で見ればそれほど悪くないように思えるかもしれません。
しかし、投資額に対するリターンの割合である配当金利回りは0.68%
仮に100万円分の投資をしたとしても年間で6,800円の配当金にしかなりません。
ユニ・チャームは株主還元の基本方針として「業界一級の利益還元を実現する」ことと掲げていますが、これはどういうことなのでしょうか。
これはさらに詳しくユニ・チャームの株主還元方針を見ると分かります。
方針には「中長期的な事業拡大への投資」と「安定かつ継続的な配当金」を重視するとあります。
つまり、結局のところ現状は前者の投資を優先させているということなのでしょう。
とはいえ、ユニ・チャームはすでに10期連続で配当金を増配しています。
いずれ基本方針に違わぬ配当金となるという未来もそう遠くはないでしょう。
ユニ・チャーム(8113)の株主優待
意外なことにユニ・チャームに株主優待はありません。
ウェットティッシュやシートクリーナーなど誰にでも需要のある製品があるにもかかわらず、そういった内容の株主優待もありません。
もっとも、先に解説した株主還元方針を考えるとこれも当然と言えば当然です。
ただそもそも、ユニ・チャームが順調に成長を続けて株価が値上がりすれば、まとまった売却益も期待できます。
そういった意味ではユニ・チャーム自身の業績向上こそがもっとも効率的な株主還元方策と言えなくもありません。
株主優待がないからといって株主が損をする可能性は低いので、その点の心配は不要でしょう。
ユニ・チャーム(8113)の株価分析を競合他社と比較
ユニ・チャームの競合他社としてここではライオンと花王の株価分析を比較してみましょう。 まずはライオンです。
ライオンの株価は新型コロナウィルス拡大期に急落したのち、急反発。
しかし、高止まりしているユニ・チャームとは異なりふたたび急落しています。
これはライオンが業績の上方修正をしたものの市場の予想に達しなかったことが原因です。
いわゆる失望売りですね。
ただ、これは本来あるべき水準に戻ったともとれます。
新型コロナウィルスの流行がまだまだ長引きそうな現状、ライオン製品の需要は底堅いと考えられます。
いったん過熱感の引いたいまは良い買い時と見ても良いでしょう。 次に、花王です。
花王の株価はユニ・チャームとは対照的に冴えない印象。
花王の製品は衛生用品のみならず、ヘアサロン向け製品や化粧品なども多数あります。
そのため新型コロナウィルスの影響により衛生用品の需要拡大の恩恵があったものの、それだけではその他の事業の損失をカバーしきれなかったという事情があります。
また、株価自体もユニ・チャームの倍近い価格であるため、投資するにはややためらうほどの金額が必要になります。
様々な観点から見てもユニ・チャームの代わりに投資するのは厳しいと言わざるを得ないでしょう。
ユニ・チャーム(8113)の株価分析と配当金・株主優待を分かりやすく解説 まとめ
ユニ・チャームの株価分析と配当金、株主優待について解説してきました。
株価は堅調に推移しているうえに、新型コロナウィルスの流行がむしろ追い風となり現在は年初来高値を更新しています。
一方で、株主優待がない、配当金も少ない、とそれ以外の部分に旨味はあまりありません。
ただ、中長期的に見ればユニ・チャームは今後も順調に成長していくことが予想できます。
中長期的にホールドしてじっくりと値上がりを待つのであればたいへん有望な銘柄と言って良いでしょう。